鈴木東建

新社屋レジリエンスZEB・ZEHへの取り組み

新社屋でのレジリエンスの強化について

「レジリエンス」とは「回復力」「復元力」「再起力」などと訳される言葉です。
新社屋は災害時において最低限の生活機能や回復能力を持たせるため、自立的にエネルギー供給可能な活動拠点施設としています。

❶「レジリエンス」の強化で目指したこと

  1. ①災害時にも対応できる建物とすること
  2. ②災害時にも地域の人々の一次避難場所としての機能をもつ建物とすること
  3. ③災害時にも部分的ではあるが、エネルギーの自立を図ることができる建物とすること

❷「レジリエンス」の強化で対応したこと

  1. ①(社屋棟、倉庫棟屋上)太陽光パネルを設置し再生可能エネルギーの100%自家消費を目指します
  2. ②(2階会議室倉庫)蓄電池を設置し災害時の電力を確保します
  3. ③(屋外駐車場)EV充電器を設置し、蓄電した電力を災害時に利用します
  4. ④(2階会議室A・B)一次避難場所として地域に開放する想定で、非常用コンセントを設置しています
  5. ⑤(1階倉庫)災害用長期保存水を準備しています
  6. ⑥(1階廊下)災害時用自動販売機を設置しています(2台)
  7. ⑦(1階女子休憩・更衣室)避難された際に女性や幼児が気兼ねなく利用できるよう配慮し、非常用コンセントを設置
  8. ⑧(その他)バリアフリーを基本に車椅子、オストメイト対応のトイレを設置、エレベーターの設置

(写真左・中)社屋棟、倉庫棟の屋上に、合わせて110枚のソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギーの100%の自家消費を目指しています。
(写真右)社屋棟2階倉庫には蓄電池を設置し災害時の電力を確保しています。
(ソーラーパネル最大出力450W/枚 年間発電量54,440kWhを想定)(蓄電池15kWh)

(写真左)駐車場にEV充電器を2台設置し、蓄電した電力を災害時に利用します。
(写真中・右)BEMS(ビルエネルギー管理システム)にてエネルギー収支を時間単位で表示することで、「エネルギーの見える化」を実施して、詳細なエネルギーデータを把握し室内環境とエネルギー性能を最適化し、社員のエネルギーに対する意識向上を図ります。

(写真左)エントランスホールには車いす対応エレベータを設置しています。
(写真中)会議室A・Bはセパレート可能で災害時に一時避難場所として地域に開放する計画で非常用コンセントも設置しています。
(写真右)1階女子休憩室は災害時に避難された際に女性や幼児が気兼ねなく利用できるよう配慮した計画としています。

1階にはオストメイト、車イス対応のハンディキャップトイレを設置、
通路には災害対応型自動販売機を2台設置、備蓄倉庫には長期保存水を確保しています。

ZEBとは

ZEBとは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の略称で、ZEBの定義は国内外で様々な議論や検討がされています。経済産業省資源エネルギー庁「ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ」(平成27年12月)では、
ZEBを「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入などにより、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」と定義しています。

ZEBの考え方

「ZEB」の定義(種類)について

「ZEB」はZEB Ready Nearly ZEB 『ZEB』の3種類と延べ面積が10,000㎡以上のZEB orientedがあります。

ZEB Ready

再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建物

Nearly ZEB

ZEB Readyの要件を満たし、かつ、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減した建物

『ZEB』

ZEB Readyの要件を満たし、かつ、再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減した建物

当社は「Nearly ZEB」を達成し環境省ZEB化支援事業に採択されました。

「ZEB」化のメリットについて

1.光熱費の削減 エネルギー消費量の削減に伴い、建物の運用に掛かる光熱費を削減する事が出来ます。
2.快適性の向上・生産性の向上 外断熱工法の採用、空調、換気、照明の制御で温度・湿度・明るさを適正に保ち開放的で明るい空間としています。また、リフレッシュスペースとして2階~4階には街と自然を一望できるラウンジを設置するなど快適性の向上に努めています。
オフィスの快適性を向上させることに加えてオフィス1人当たりの面積を通常より大きく設定しながらコミュニケーションがほどよくとれるスペースを確保しています。
また、キャビネットやデスクの配置も仕事に集中ができるよう配置し生産性の向上を図っています。
3.不動産価値の向上・企業価値の向上 外断熱工法により躯体が保護され耐久性能が大幅に向上し、室内環境・エネルギーに配慮した建物は、一般的な建築物と比較して不動産としての価値が向上します。
ZEB取得に関わることによって、地球温暖化対策に強い関心があることを社内外に表明することができ、企業ブランド価値向上に繋がります。
4.事業・生活・地域の継続性の向上 ZEB化することで、再生可能エネルギー等の活用により、部分的ではあってもエネルギーの自立を図ることができます。
5.環境・省エネルギー意識の啓発 来客者や職員が目にするエントランスや通路などにモニターを設置しエネルギーの見える化を実施し、職員への環境や省エネルギー意識の啓発を図ることで省エネ運用の改善効果が期待できます。
またZEBそのものを教材とした環境教育にも活用できます。

「Nearly ZEB」達成のために採用した設備等の紹介

1.RC外断熱工法

ドイツsto社の長い歴史のある工法を採用し、100㎜厚の断熱材で建物全体をすっぽり囲み断熱性、耐久性を向上させています。

sto外断熱システム

内断熱と比較すると外壁・屋根を断熱材ですっぽり囲むため紫外線や外気による影響が大幅に低くなり断熱性が高く、 コンクリートの膨張、収縮も小さくなり耐久性がUPします。

コンクリートの温度解析 内断熱と外断熱 結露の起こりやすさの比較

外断熱工法のまとめ(メリット)

  1. ①断熱材によりコンクリートが保護されるので耐久性が大幅にUPします。
  2. ②結果、構造体が長寿命となりライフサイクルコストの軽減が図れます。
  3. ③壁も床もコンクリートの温度は室内と同じになるので建物自体からの輻射熱もあり空気の対流もなく、一年を通し室内環境が快適です。
  4. ④結果、結露・カビ・ダニの発生が抑制できアレルギーの発症もありません。
  5. ⑤年間の暖房費、冷房費を大幅に削減する事ができ省エネにつながります。

2.窓(開口部)

室外は強度・耐久性に優れたアルミ、室内は断熱性に優れた樹脂を融合したハイブリッドサッシを採用し、従来のビルサッシとして使用していることが多いアルミサッシとは異なる構造で断熱性能を飛躍的に高めています。

3.設備機械的エネルギー技術

太陽光発電

110枚の太陽光パネルで再生可能エネルギーの100%自家消費を目指しています。

リチウムイオン蓄電池

社屋棟2階倉庫に設置したリチウムイオン蓄電池により災害時に最低限の電力を確保します。

EV充電器

駐車場に2台設置し、電気自動車に充電し蓄電した電力を災害時にも利用可能です。

給湯設備

高効率ヒートポンプ給湯器を採用し、少ない電力で大きな熱エネルギーを生み出すため省エネ効果が見込めます。
(容量370ℓ)

照明設備

在室検知制御(人感センサー)、明るさ検知制御(明るさセンサー)機能をもつ照明機器を採用し消費電力を削減します。

空調設備

省エネ性能が高く高効率な電気ヒートポンプ空調機を採用しています。

換気設備

ウイルス対策にも有効で省エネ換気を実現する全熱交換機を採用してします。

BEMS

各所に温湿度センサーを設置し消費電力量と発電電力量の計測(見える化)を図りながら照明や空調などを制御し最適なエネルギー管理を行います。

レジリエンス強化型ZEB

当社は補助事業名
『令和4年度補正 建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化のための高機能換気設備導入・ZEB化支援事業』において
「札幌市内では民間企業の事務所用途としては初採択となるレジリエンス強化型ZEB建物」となりました。

通常のZEBと違いレジリエンス強化型ZEBは、レジリエンス機能が求められる公共性の高い施設(地域防災計画、地方公共団体との災害時協定、災害時対応にかかる地方公共団体との契約等)であることが求められ、
また平時において自家消費する事が可能で、かつ災害時に自立的に稼働する再生可能エネルギー設備(太陽光発電等)及び蓄電池を導入する事が条件となります。

ZEHとは

ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で「外皮の断熱性能などを大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」のことです。

ZEH普及目標および実績報告

「エネルギー基本計画」(2014年4月閣議決定)において、「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」とする政策目標が設定されました。 株式会社鈴木東建では、下記のとおり各年度の目標値を設定し公表いたします。

2020年度2021年度2022年度2023年度2025年度
ZEH普及実績ZEH普及目標
000050%

オフィス空間の快適性・生産性の向上について

近年は労働環境、労働生産性の向上に向けた働き方改革等の動きともあいまって、快適性や知的生産性といった建物の中で働く人、建物を訪れる人にとっての空間の質が重視される傾向が高まっていることを考慮して新社屋の計画をスタートさせました。
執務空間では建物の断熱性能が高いほど各種症状の改善がみられるとの研究報告もあり、室内温度の均一化による快適性の向上に加え、社員の健康増進効果にも期待しています。
エントランスホールは、コンパクトながら、自然採光が入り開放的な空間と見えるよう設計しています。
また、お客様にも好印象となるような空間を目指しており、中心にあるベンチにはシンボルツリーを設置し、アールの塗壁、天井間接照明、モールテックスとナラ無垢材を使用した階段などプロジェクトチームのこだわりが数多く散りばめられており、簡素ですが気持ちの良い空間となりました。

2階~4階の事務室は天井スケルトンを採用しています。上階の床が天井となることで、天井が高く開放感があります。
照明、空調、換気、配管等も表しで納めて普段皆様が利用されているカフェのような開放的な空間となり快適性や生産性の向上につながることを期待していて、現場に出る若手社員の教育にも利用する予定です。

2階~4階には社員の休憩の場としてラウンジを設置しています。社員のリラックススペースとして活用していただくため、街と自然の景色を同時に見ることのできる場所に設置しています。
4階ラウンジは、今後の事業におけるお客様との打合せの場としても利用する計画で、上質な空間を目指して計画しています。また前面道路から見上げて見ることも想定しライティング計画をしています。

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